SPINEL
【尖晶石(せんしょうせき)】
どんな石?
先端の尖った八面体の結晶形状から、ラテン語で棘(とげ)を意味する「spina」が名前の由来になっているスピネル。無色から赤、ピンク、青、紫、緑、オレンジ、黒まで、豊富なカラーバリエーションを誇る石である。石の輝きを決定する要因の一つである「屈折率」が高いため強い輝きを放ち、さらに硬度も高いため宝石として重宝される。レッドスピネルやブルースピネルは、長い間ルビーやサファイアと混同されてきた歴史を持つ。中でも最も有名なのは、「黒太子のルビー」と呼ばれる170カラットものレッドスピネルだろう。2023年5月に行われたイギリス国王チャールズ3世の戴冠式に登場した「大英帝国王冠」。様々な宝石が散りばめられた豪華な王冠の中でもひときわ目を引く特大の真紅の石がそれである。14世紀イングランドの王太子であったエドワード黒太子が入手したこの石は、1783年にその正体がスピネルであると判明するまで、実に400年以上もの間ルビーであると信じられていた。
2021年に日本の誕生石が63年ぶりに改定され、スピネルは「新しい誕生石」として8月の誕生石に追加された。ルビーのように、サファイアのように、ダイヤモンドのように美しい各色スピネルは、これからますます注目を集めるかも知れない。
もっと詳しく
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分類
酸化鉱物
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化学組成
MgAl2O4
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色
無色、赤、ピンク、青、紫、緑、オレンジ、黒など
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産地
ミャンマー、スリランカ、ナイジェリア、タンザニアなど
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条痕
白
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モース硬度
8
結晶の形
八面体
三角形の面が8つある立体
柱状
細長い柱のような形で先が尖っているものもある
六面体
四角形の面が6つある立体
十二面体
五角形の面が12個ある立体
板状
板のように平たい形
鉱物の加工
ラフ
大きな結晶を砕いたままで磨かれていないもの石らしくゴツゴツしている
タンブル
大きな結晶を砕いたのち磨いたもの磨かれたことによって元々の輝きや透明度が増す
スライスカット
平たくカットして磨いたもの表面の模様が見やすい
ファセット
石の表面を多数の切り口でカットして磨いたもの計算されたカットから反射した光が輝く
カボション
ドーム状にカットして磨いたもの。真上から見た形は様々で石の模様や色が際立つ
鉱物を知る