【ラピスラズリ ~マーダンチャー鉱山産オールドストック~ 前編】
ラピスラズリといえば、青い石の代表格的存在。
目の覚めるような深いブルーが実に印象的な石です。
そんなラピスラズリの中でも、アフガニスタン・マーダンチャー鉱山産のラピスラズリは
今や幻の石と化している希少な逸品。
この特別な石をマッチ箱博物館よりご紹介できることを大変嬉しく思います。
ところでラピスラズリの魅力は、その美しい色彩だけではありません。
ラピスラズリは人類が利用した最古の鉱物、身に着けた最古の宝石だと言われています。
そんなラピスラズリが人類の歴史に刻んできた物語もまた、私たちを惹きつけてやまないものです。
まずはラピスラズリという石の、歴史上のエピソードをいくつか。
続いて最高品質を誇るアフガニスタン・マーダンチャー鉱山産のラピスラズリにまつわる
ストーリーをご紹介したいと思います。
人類との付き合いが極めて長い石、ラピスラズリ。
どれほど古くからの付き合いかと言うと、古代エジプトではすでに宝石や顔料として重宝されていました。かの有名な古代エジプトのファラオ、ツタンカーメンのマスクにもラピスラズリが使用されています。時代は下って古代エジプト最後の女王であり、世界三大美人の一人としても知られるクレオパトラも、ラピスラズリを原料としたアイシャドウを使用していたと言われています。
ラピスラズリの鮮やかなブルーに魅せられ、愛用したのは王族のような権力者たちばかりではありません。その奥深い色合いは、美を追求する芸術家たちも虜(とりこ)にしました。
オランダの画家フェルメールの名画『真珠の耳飾りの少女』。この絵は『青いターバンの少女』とも呼ばれていますが、このターバンの青は「ウルトラマリン」というラピスラズリを原料とした顔料により生み出された色でした。フェルメールがこのウルトラマリンを愛用したことから、この色は「フェルメールブルー」と呼ばれています。
古来より権力者たちに愛され、偉大な芸術家をも魅了した石、ラピスラズリ。
その独特のブルーは今日でも、人々の心をつかみ続けています。