マッチ箱博物館|MATCHBOX MUSEUM

【妖石(あやかしいし) ~蛍光性方ソーダ石含有閃長岩クラスト~ 後編】

【妖石(あやかしいし) ~蛍光性方ソーダ石含有閃長岩クラスト~ 後編】

マッチ箱博物館が「妖石(あやかしいし)」としてお届けする石は、
2017年に発見されたばかりの鉱物界の注目の新人。


その正体は蛍光性方ソーダ石含有閃長岩(せんちょうがん)クラストである、
というところまでを前編ではお話ししました。

名前から分かるように、妖石の正体は蛍光する方ソーダ石を含む閃長岩。

岩なのですから通常光下で「平凡な石ころ」という印象になるのも納得です。


そして閃長岩というのはマグマが冷え固まってできたものですから、
妖石はその蛍光する姿の印象通り、燃えさかる溶岩から生まれた石なのです。

妖石の目玉である蛍光をもたらすのは方ソーダ石(ソーダライト)。


方ソーダ石と言われてもいまいちピンと来ないかも知れませんが、
美しい深いブルーの石として有名なラピスラズリの主成分となっている鉱物です。


ラピスラズリと同じブルーのものが最も多く見られますが、灰色や白、黄色などのものも存在します。

蛍光性方ソーダ石含有閃長岩クラストに含まれる方ソーダ石がラピスラズリのように
鮮やかなブルーのものであれば、この石はきっと何世紀も前から注目を集め、
その蛍光性ももっと早くに発見されていたことでしょう。


そのままでは誰も気に留めないような平凡な姿——それは妖石の隠れ蓑(みの)。

ただの石ころのような顔をして、つい数年前まで人類の目を欺(あざむ)き
続けていたのですから大したものです。

蛍光する鉱物は他にも存在しますが、妖石はブラックライトを当てられた途端、
他の蛍光鉱物をしのぐ強さで実に鮮やかに輝きます。

この「変身」の強烈さこそが、他の石にはない妖石ならではのユニークな魅力なのです。

石に化かされてギョッとする体験を、ぜひお楽しみください。

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