【虫入り琥珀(こはく) 後編】
鉱物のような美しさを持ち、化石のように太古の生物の姿を楽しめる——
虫入り琥珀は鉱物と化石の魅力を併せ持つような、
特別な石であることを前編ではお話ししました。
遥か昔の地球に生息していた生物にロマンを感じ、生物の化石がお好きだという方。
そんな方がルーペを片手に虫入り琥珀をのぞき込んだら、アッと驚くはずです。
内部に閉じ込められた虫は琥珀という樹脂に保護されてきたため、
保存状態が一般的な化石よりも遥かに良好。
そのため肉や毛、羽といった柔らかな部分までしっかりと残っており、
細部まで観察することができます。
ネバネバした樹脂に触れてそこから離れられなくなってしまった虫が、
それでもどうにか逃れようともがいた跡が
線になって残っている虫入り琥珀があります。
さらには何と、産卵中の姿が確認できる虫入り琥珀まで。
普通の化石ではこうはいきません。
虫たちの姿と生態がこれほどリアルに保存されているのは、
虫入り琥珀だからこそです。
今にも動き出しそうな目の前の虫が恐竜の頭に止まったり、
恐竜の血を吸っていたかも知れない・・・
そんなことを想像しながらこの石をゆったり観察すれば、
あなただけの博物館にいるような気分を味わえるでしょう。
虫入り琥珀はまた、美しい琥珀色の中に壮大な時間が広がる
タイムカプセルのようでもあります。
つい先ほどまで生きていて、たった今樹脂に閉じ込められたかのように見える虫——
けれども実際には、虫が樹脂に捕えられたのは1億年近くも前のこと。
そこから気の遠くなるような時間をかけて樹脂が固化、化石化し、
私たちの前に今その生き生きとした姿を現しているのです。
小さな粒の中に悠久の時が凝縮されたタイムカプセルを前にすると、
普段当たり前のように認識しているつもりの時間というものの意味が
とたんに曖昧になるような、何とも奇妙な感覚にとらわれます。
そんな不思議な感覚に心を委ねるのも、虫入り琥珀の楽しみ方の一つ。
琥珀色のウイスキーを片手にこの石を眺め、
時間の存在感が希薄になる瞬間を味わう・・・
虫入り琥珀の愛好家には、そんな方もいらっしゃいます。
虫入り琥珀の楽しみ方を、最後にもう一つだけ。
マッチ箱博物館がお届けする虫入り琥珀は、
ブラックライトを当てるとブルーに蛍光します。
そのままでもコクのある色合いが美しい琥珀が、
幻想的なブルーに色を変える様はとても見応えがありますよ。
虫入り琥珀の観賞時には、ルーペだけでなくブラックライトもどうぞお忘れなく!
世界一美しく保存状態の良い化石、
そして太古の地球から届いたタイムカプセルとも言える虫入り琥珀。
あなただけの一石を、ぜひ手に入れてみてください。